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作品うp用ブログ。 油彩・立体がメイン。美術に関するあれこれも書いていく。twitter⇒http://twitter.com/2501kai
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そごう美術館で開催中の琳派・若冲と雅の世界展に先月行ってきた感想です。ちょっと今回は親と唐突に行く事になった展覧会だったのでメモなどろくに取れず、展覧会の感想というよりは作品の感想といった感じになってしまいました・・すまぬ。
細見美術館の収蔵品を日本美術の流れに沿って展示するという趣旨なので、メインの琳派・若冲は展覧会広範にあります。
展覧会前半は表題で言うところの“雅な世界”に焦点を当てた展示です。
その中でも特に「十一面観音」や「如意輪観音」の絵はまさに雅と言うに相応しく、セクシーで極楽の花の匂い立つような画面になっていました。また、「平家納経装飾絵巻 模写」には圧倒されました。こんなに豪華な絵巻は見た事が無い!絵巻の芯(?)に水晶をあしらい、全面に金細工をあしらった何とも豪華な作りになっていて、中に使われている紙もきらびやか。「平家納経 経箱」や「伊勢物語かるた」も豪華絢爛。貴族達はこんなに美しいものに囲まれて生活していたのかと、改めて驚嘆せずにはいられません。
展覧会中盤~後半の絵画は構成の妙が光る、洗練された画面が多くなってきます。渡辺始興「簾に秋月図」、中村芳中「花卉図画帖」、鈴木其一「藤花図」が特にお気に入りでした。西洋絵画ではまず滅多にお目にかかれない大胆で洒脱な構図と色そのものの美しさが引き立っている絵です。また、鈴木守一の掛け軸などは、本紙と、その周りを飾る中の関係性が面白く、これも西洋絵画には見られない表現であると感心しました。掛け軸の”中”は所謂、額(ともちょっと違いますが)に当たる部分で、普通は本紙に描かれた絵を引き立たせるのが役目ですが、鈴木守一の描いたそれは、むしろ中がメインなのでは?と思うほど豪華に仕上げられています。本紙と共に中も取り込んで絵を作っていると感じさせる、面白い表現でした。
そして展覧会メインの伊藤若冲ですが、この人はタッチが非常に豊富で、描くものによって適切なタッチを使用することが出来るので、彼が一体どこに感動したのかが一目瞭然なのです。「鶏図押絵貼屏風」を見るとそれがよくわかります。鶏の尾が大胆に勢いよく描かれているのを見ると、この位置に筆を入れたときの緊張感と、上手く決まった時の陶酔感はえもいわれぬものがあったのだろうと感じられます。単に羽の一枚一枚を細かく描写しているのではなく、適材適所の表現のできる事が、伊藤若冲がこれだけ人気になった原因のひとつだと思いました。

今回の感想はここまでです。やや小規模ながらなかなか得るものの大きい展覧会でした。
次に行きたい展覧会は・・
・トーマス・デマンド展
・マウリッツハイス美術館展
・ベルリン国立美術館展
・クライドルフの世界展
とまた盛りだくさんです。正直金銭的に厳しいですが、見るものも学ぶものも多くて楽しい今日この頃です。

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新国立劇場で行われたオペラ、ローエングリン。ルサルカに続いてオペラ観劇は2度目になります。
今回の舞台はかなり斬新な演出がなされているようで盛大に期待しながら観劇したのですが、素晴らしいというか、“面白い”の一言に尽きました。
私はクラシックが苦手、というか寧ろ嫌いなジャンルで、途中で寝てしまわないか非常に心配だったのですが、最初から最後まで夢中になってしまいました。音が繊細!鳥肌が立つ!聞き終わった後も、腹の中でオケが奏で演者が朗々と歌ってる!!特にローエングリン役のまあなんと格好良いことか。声がイケメンというのはああいうのを言うのだろう。名前も素性もわからないけれどあなたは清らかですね!と納得せざるを得ない。
演出のほうも驚くようなギミックと表現の連発で、最後まで目が離せませんでした。また、途中大き目の地震に見舞われても動揺一つ無く演技と演奏をこなした関係者の方々、本当に尊敬ものです。最後まで上演できるのか一瞬不安になった自分が恥ずかしいくらい。
ああそれにしても舞台の感想ってどうやって書いたらいいんでしょうね・・・。非常に拙いですが、まあともかく最後まで楽しめる素晴らしい舞台でした。

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「眠り」
2012年3月
油彩、F10キャンバス
母校のアートフェスに出品

物言わぬ首。

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どちらも国立新美術館で開催中。

まずセザンヌ展の方から。
 いやあ混んでますね・・・小母様方がたくさんいらしていてまあ・・・。ちゃんと見るなら開館直後など早めに行ったほうがいいです。昼、しかも休日に行くものではないです。
 まあそれはともかく、今回セザンヌ展を見るに当たって、気にしていた事が1つありまして・・・今まで私は、恥ずかしながらセザンヌのどこが凄いのだか全くわからなかったのですね。実物を見る機会もなかったと言えばそうなのですが、今回折角まとめて現物を見られるので、それがわかるといいなあと思いながら見ました。
 あの画家、やっぱ凄いですね。
今では印象派だの抽象画なんてのはあって当たり前みたいなところがありますが、当時の時代背景と併せて考えると、まず印象派が出てきたこと事態がもう衝撃ですよね。しかしそこから更に発展し、セザンヌは自然の風景をきっかけにして色彩と形と構成、といった要素を使って純粋に絵を描く事を目指した・・・いや、キャンバスの上に絵の具を置くという行為から生まれる美を発見しようとした、と言った方が正しいでしょうか?まとめてああいった場で見ると、伝統的な絵画→印象派→セザンヌの真骨頂というように絵が推移して行ったのがよくわかります。ああ、こうやって近代の絵画が出てくるための橋渡しをしたのね、と。
 まあともかく、色彩と構成の妙とでも言うべき絵のオンパレード。大々的に広告されてる「りんごとオレンジ」のまあなんと美しいことか・・・色が本当に綺麗なんですが、印刷物で見るとまっっったくわかりませんね。つくづく、美術は実物を見なければ何もわからないと実感した瞬間でした。

お次はエルミタージュ美術館展。
こちらは何故か結構空いてました、まだ会期が十分にある事も原因でしょうけど・・・セザンヌ人気なんだなぁ・・。
 展覧会は所蔵作品を時代別に区分して見せるやり方でした。ルネサンスから20世紀美術までをカバーしています。個人的には、ルネサンス→バロック→ロココ→新古典主義、の流れが特に面白いですね。大人しく美しいルネサンスから、勢いのあるダイナミックな表現がしたい!とバロックになり、ちょっと味付けが濃すぎだから華やかな甘いものがいい!とロココへ、しかしちょっとやりすぎた感があってくどいから清楚なのがいいよね!と移ろっていったのがよくわかります。そこから、やっぱりダイナミックな強い表現がしたい!というロマン派が現れ、それが発展して印象派、乗り越えた先のナビ派、そこから更に発展したフォービズムやキュビスム、と見ていくことができました。
 また、この展示では見たかった絵が結構あって嬉しかったです。ベルナルディーノ・ルイーニ「聖カタリナ」、オラース・ヴェルネ「死の天使」、ジュール・ルフェーヴル「洞窟のマグダラのマリア」、これらの絵は女性が美しい!見惚れます。レオン・ボナ「アカバの族長達(アラビア・ペトラエア)」、ピエール・ボナール「早春(小さなファウヌスのいる光景)」、アンドレ・ドラン「港」は面白い表現だなあと感心してました。マティスの「赤い部屋」は流石というほかありません。タペストリーにしたい。
しかしセザンヌ展と一緒に見ると疲労感が凄いです。時間に余裕があるならそれぞれ別の日に見に行くべき。

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昨日に引き続いて美術館行きました。国立西洋美術館で20日まで開催中「ユベール・ロベール」展。いかにも良さそうな雰囲気でしたが、予感的中。素晴らしかったです。

 なんといっても、“魅惑の空間”と表現するのが正しいでしょう。絵の前に立つとまるで吸い込まれるようです。奥へ奥へと誘われるような極上の空気感がどの絵にも漂っています。
 ザンギーヌという赤チョークを使ったスケッチが多かったのですが、どれもが思わず足を止めてしまうほど魅力的。だいたい風景画って、近景を描いて遠景に意識が行かないものと、遠景を見せたくて近景にさほど意識を向けさせないものとあるじゃないですか。でも、この画家は近景から遠景へ、その空間の流れと広がりを描きたいのでしょう、どこも均等に愛情持って描かれています。
 陰影の描き方も広大な空間を描くことを強く意識していて、描く場所も建物の鋭く大きな影が落ちているところと日の強く当たるところとの対比の美しい場所が選ばれています。特に古代の遺跡を描いたものが多く、自然とうまく一体化していて、建物というよりは風景になっているんですね・・だから廃墟が好きなんでしょうか。

 この人の絵、見ていると、すっと絵の中に入っていきたい衝動に駆られます。まさしく、「二次元に行きたい」ってやつです。必見。

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 雨の中、横浜美術館で開催中の「マックス・エルンスト」展に行って来ました。平日・雨ということもあって流石に人は少なかったです。ゆっくり鑑賞できました。

 フィギュアスケープというテーマで構成された今回の展覧会、版画から絵画、彫刻までを扱い、マックス・エルンストの作品内に現れるモチーフや風景を追っていくというものでした。私は、彼の作品では百頭女に代表されるコラージュ作品群が殊の外好きで、特に今回フロッタージュ(擦り出し)による博物誌シリーズを見られたことは感激でした。
 油彩作品などは特にフロッタージュを意識したようなタッチやテクスチャの違いが見られ、テーマであるフィギュアスケープと一緒に注目して作品を見てみるとなかなかに楽しめます。あと、コラージュや版画の影響も描き方に現れていたりします。彫刻だけは本人も、息抜きのようなものという記述があったように、そうした影響からは少々離れたところにあったようですが・・。
 また、自然への関心も興味深いものがありました。博物誌など自然をモチーフにした作品は勿論ですが、雲母の欠片を思わせるタッチが絵に表れていたり、フロッタージュを始めデカルコマニー(濡れた絵の具の上からガラス板を押し付けて染みを作る)、オッシレーション(穴を開けた缶に絵の具を入れたものを吊るして動かし、その軌跡を描く)といった技法が効果的に自然の描写に使われていることからも伺えます。そうした作品を作っている中で2度の大戦が起こり、彼にとってそれは耐え難いものだったと容易に想像できます。オカルト的な作品があるのも納得してしまいました。最終的に「美しき女庭師の帰還」「最後の森」「鳥」といった方向に表現が纏められていくのを見ていくとなかなかにドラマチックだなと思います。
いやぁ、やはり画家の一生を時代背景と共に追っていくのは楽しいですね。

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