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作品うp用ブログ。 油彩・立体がメイン。美術に関するあれこれも書いていく。twitter⇒http://twitter.com/2501kai
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昨日、久しぶりに美術館に行ってきました。
22日開催のゴヤ展と、東京藝大大学美術館で開催中の彫刻の時間展、どちらもなかなか見ごたえがあって良かったです。

ゴヤ展は、昨日からの展示だったので、流石に人は多めでした。肖像をはじめとした油絵はもちろん、ロス・カプリーチョスの版画シリーズや素描が充実していたのが印象的でした。着衣のマハもしっかり見てきました。裸バージョンよりも絶対に着衣のほうがエロティックです。
作品を一通り見て感じたのは、ゴヤの作品に描かれる人物(特に肖像画などに登場する貴族たち)の人間味の無さでした。ゴヤは紛れも無い天才型の画家で、人物の細かな特徴を忠実に捉えてキャンバスに再現しており、技量については文句のつけようも無いんですが・・・その観察眼がいささか冷たすぎるような気がするんですね。例えばヴィジェ・ルブランの肖像画やフェルメールの描く人物画と、図録を広げて比較すると、その違いはもう歴然としていて、ゴヤはまるで人形を描くかのように人物を見ているのがよくわかります。基本的に人物の目が死んでいるんですが、目に光が入っている絵でも、生きている人間の目というよりはむしろガラス球が嵌っている目を描いているかのような印象を受けます。
しかしそれがロス・カプリーチョスの作品群の前に来ると、途端に描かれているのが”生きた人間”になるのです。展覧会の解説を読むと、これらの絵はゴヤの批判精神から描かれたというようなことが書かれていますが、実際に絵を描いている立場から言わせてもらえば、批判精神や義憤だけでこの愚かで醜い人間たちの無様をこうまで生き生きとは描けないと思います。確かに皮肉に満ち満ちた作品ですが、これらがやがて黒い絵のシリーズへ繋がっていくのだと思うと、社会風刺というよりはゴヤ自身が他人への暴力や、醜さ愚かさといったものに興味があったのではと思わずにはいられません。展覧会最初のほうに1枚だけある自画像を見ると、どことなくロス・カプリーチョスの登場人物たちに面立ちが重なる気がします。この展覧会はそうした、ゴヤの2面性が垣間見える展覧会でした。

その後彫刻の時間展に行きましたが、こちらは場所柄というのもあるのでしょうが、土曜だというのにほとんど人がおらず、じっくり見ることができました。彫刻のことはさっぱりわからないので、細かな分析などはできませんでしたが、これも勉強ですね。
伝統と継承という副題の通り、仏像から現代の彫刻作家までを取り扱っていますが、展示作品中で群を抜いて感動したのが平櫛田中の作品群でした。作品の量も多かったのですが、まるで木に命が宿ったかのような人物木彫は一見の価値アリです。むしろ木に見えませんでした。どう見てもあれは人物です。また、現代の作家では原真一と森淳一の作品が好みでした。原真一の溶けた石のような柔らかな形は思わず触りたくなります。森淳一は骨や珊瑚、貝殻といった生き物の”殻”を使った作品でした。しかし実は、ああした多孔の物質が私はあまり好きではないので、目にした瞬間ちょっとぞおっとしましたね。でもその素材が発する印象が、いい感じのインパクトになっていた気がします。あと、増井岳人の白い土偶器もなかなか綺麗でした。単純な色の美しさと、ミイラを思わせるような形は、現代の土偶と表現するには言いえて妙だと思います。
彫刻に関しては語彙が少ないので、これ以上の言葉を使って表現できないのがもどかしいですが、この展覧会も機会があれば是非見てみることをおすすめします。

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