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作品うp用ブログ。 油彩・立体がメイン。美術に関するあれこれも書いていく。twitter⇒http://twitter.com/2501kai
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今日はやなぎみわ演出の演劇「1924 海戦」を見てきた。

入れ子構造になった、複雑な劇ではあるが、演劇鑑賞2度目の私にも、各場面で言わんとしていることは不思議と理解できた。一人の芸術家の苦悩と現実。前衛にこそ芸術がありと追い求めても、その手に掴むは空虚と孤独ばかり。それでも戦い続けるしかない芸術家の業とでもいうものと、閉じ込められた砲塔で水兵達が「前兆だ!前兆だ!」「戦闘は続行する!!」「戦争は俺達をどこへ連れて行く気なのか!!」と叫ぶ声が見事なまでにシンクロする。演出家土方の築いた築地小劇場は、演劇の実験場として、演劇芸術の方舟となるはずだったが、生死の極限でなお足掻くことしかできぬ堅固な牢獄、あるいは砲撃を受けて破壊される戦艦そのものにしかなりえなかった。・・・いや、果たして本当にそうなのか?
芸術とは一体なんなのか。ツイッターやスカイプなど、今使われているツールが劇中に混ざることで、問われている問題が今まさしく現実に問われていることであると生々しく実感させられる。社会運動と広報活動、検閲、芸術と鑑賞者との関わり方、芸術の社会的影響力、未曾有の大災害から復興する最中であるという転機。その中でひたすら揉まれ、自分はどうあるべきか苦しむ土方の心境に心底共感して泣けた(元々B級でも泣ける程度の能力を持ってはいますが)。それが案内嬢の無機質な声によって、土方の苦悩が滑稽な喜劇のように感じさせられているのだから尚更に泣ける。実際、鑑賞者(ただ作品を享受するだけのユーザー)から見ればこれらの苦悩なぞ喜劇以外の何者でもないだろう。隣の席の人は退屈そうに何度も足を伸ばしていた。

この演劇を短く言い表すなら、"若い水兵と芸術家達の熱い血にまみれた舞台"だった。曰く、日本の鑑賞者は舞台で殺戮を見せられて怯えるほどセンチメンタルでは無いそうだ。

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